3年間の技能実習を決心して来日した外国人技能実習生。
働いて、技術を身につけて、お金を稼ぐ。それだけが目的ではあんまりです。
初めての国、初めての町、初めての環境。
どうせなら日本を好きになってほしいし、自分の働く町や会社を好きになって3年間生き生きと実習をしてほしい。
今回は『外国人技能実習生の3年間』を考えるコラムです。
地域に増えてきた外国人
近所のコンビニ、飲食店などで働く外国人が増えてきたように感じている人も多いと思います。
今や日本は「外国人労働者受け入れ大国」と呼ばれるそうです。
背景は様々ですが、地域でよく見かける外国人。
その主な比率は次のとおりです。
永住外国人・・・約30%
実習生・・・・・約15%
留学生・・・・・約10%
その他
外国人といっても在留資格は様々です。今後は実習生のほかに特定技能外国人もどんどん増えてくるでしょう。
そんな中、いざ問題やトラブルが発生したときに「おそらく外国人のしわざ」とひとくくりにされてしまうのは残念でなりません。
外国人はよく見かけるようになったけど、実習生のことはよく知らないな
職場以外の日本人と話す機会がないです
技能実習生と地域との交流がほとんど無いと、お互いがお互いのことをよくわからない、よく知らない、どこに住んでいるのかもわからないし、何をやっているのかもわからない。
コミュニケーション不足からは良い結果は生まれません。
実習生と地域の人とのつながりを図るべき理由
外国人技能実習生を雇用し労働させ賃金を支払う。ただそれだけでなく、社内・地域住民とのコミュニケーションを積極的にとらせようと努力している企業には絶大なメリットが生じます。それは
- 信頼しあうよい人間関係を作ろう
- 地域住民とのつながりをもとう
以下に一つずつ解説していきます。
1.信頼しあうよい人間関係を作ろう
初めて異国の地、日本に来た実習生。
母国とのさまざまな違いに戸惑いながらも、これから1年間もしくは3年間の技能実習をがんばろうとしています。
そんな右も左もわからない実習生にぜひ「やさしい日本語」で「ゆっくりと」伝えてあげてください。
- 文化の違い(時間を守ること、素直に謝ること、あいさつの大切さ)
- 仕事の考え方(朝礼夕礼、タイムカード、残業について、専門職の知識、指示の出し方、仕事への責任、キャリアアップ、休みの事前・当日申請、有休や長期休暇について)
- 生活の違い(ロッカーの使い方、整理整頓の仕方、トイレの使い方、手洗い、喫煙場所、食堂や購買の利用の仕方、ゴミの捨て方、具合が悪いときどうすればよいか、ケンカやトラブルを見かけたらどうするか)
実習生たちは基本的に親日で、日本や日本人に興味があります。
ですが最初のころは恥ずかしがって自分からは打ち解けられません。
我々日本人がやさしく教えてあげ親切にすることで、それ以上の親切で返してくれます。
外国人技能実習生に限らず日本人もそうですが、円滑な人間関係が円滑な業務遂行につながります。
また、急に来なくなったり辞めますと言いだす(実習生で言えば逃亡・失踪する)といった恐れもなくなります。
「よい企業」は「よい人間関係」を作っているのです。
2.地域住民とのつながりをもとう
日本人と話がしたい
日本語や日本の文化を知りたい
自分の国のことも知ってほしい
外国人技能実習生は
- 日本人と交流すること、日本語・日本文化について理解を深めることを望んでいる
- 自分の国に興味・関心を持ってもらいたいと思っている
日本人側は増えてきた外国人に対して、単なる「労働力」「学生」ではなく「ともにこの地域で暮らす住人」として受け入れる意識を持ち、地域を活性化する存在として積極的に交流してもよいのではないでしょうか。
地域や近所の人と顔見知りであると
- 困ったときに助け合える
- 声かけしやすい関係=理想的な共生
- 犯罪の抑制
- 雰囲気のよい町づくり
実習生たちは大らかで人懐っこく親切な若者が多いです。
ぜひ積極的にふれあってよい関係・よい環境をつくりましょう。
具体的にどんなことをするのか
- 日本語と母国語であいさつ
- 国旗・出身地・人口・衣服・文化について
- 日本の食事・母国の料理
- 同年代・別世代の交流 等
- 町内のゴミ拾い
- 地域のマラソン大会
- 地区のお祭りに参加
- 地域の防災訓練 等
交流を図ってみて
話す機会がなかったけど、実際に話してみたら明るくて好感が持てた
一生懸命日本語を話そうとしてくれていて好感が持てた
不安と緊張でいっぱいだったけど、楽しかった
日本のことが知れたし、自分の国のこともわかってもらえてうれしい
とても家族思いで、家族のために働きに来たのを知ってすごいと思った
もし困っているのを見かけたら手助けしたい
仲良くなりたい。楽しく過ごしたい。町で見かけたらあいさつをしたい
交流会や参加活動を通して技能実習生は、日本語や日本文化をもっと知りたい・学びたい、日本や日本人に対して好印象を持つようになってくれます。
また日本人側も、外国人に対する苦手意識が薄れ、話してみると仲良くできそうだという印象に変わります。
企業や監理団体は、技能実習生が清掃活動やお祭り等、地域の行事に参加して地域の一員として受け入れられるような支援をしていってほしいと思います。
本文:サン事業協同組合 事務局